覚書未満

見てきたものや調べた事の覚えがきメモです

情報メディア学会2014パネルディスカッション②

引き続きパネルディスカッションの簡単なまとめ

瀬野と隣人のとったメモをあわせました。

発言者の方の意図しないまとめ方になってしまったらすみません。

どなたかがきっともっと綺麗にまとめてくださっているはずです。

 

テーマ「デジタル化を拒む素材とアウトリーチ
司会 岡部先生
コーディネーター 江上先生
パネリスト
 大場さん【国立国会図書館
 茂原さん【渋沢栄一財団】
 田中さん【ネットアドバンス】
 後藤さん【花園大学文学部】

前日から当日の流れの詳しいことは、まとめがあります。(#JSIMS2014でも追えます)

情報メディア学会 第13回研究大会「デジタル化を拒む素材とアウトリーチ」 #JSIMS2014 - Togetterまとめ

 質問紙にフロアから質問を書いてもらい、パネリストの方々に答えてもらうという形でした。

 

 

 

保存と利用は相反する。そこはどうしているのか。

永続性の問題についてどのように考えているのか
デジタル化をどんな風につづけていくか、どんな条件があればつづけていけるのか
つづけられない条件とは何か
◾︎大場さん(国立国会図書館
 やらないと、組織として持たないんじゃないかと。(国立国会図書館なので)
 利用してもらうための図書館に。デジタル化は生き残りの戦略です。
◾︎茂原さん(渋沢栄一記念財団)
 規模は小さいが国立国会図書館と考え方は同じ。未来まで続く資源保存が大事。
 それができなくなったら、公が代わりができるのかを考えておく必要。
 デジタルで作ったものを社会にとって有用であると思われるような物にするのが大事。
◾︎田中さん(ネットアドバンス)
 会社がなくなったら、サービスがとまる。これは資本主義の中ではしょうがない…
 買っていただいたお客様のために画像データは差し上げています。(ただし検索システムはないですが。)
  江上先生「ダークアーカイブとかそんな感じでしょうか」
  田中さん「それに近いものはあるかもしれません」       
◾︎後藤先生(花園大学文学部)
 自分自身が続けて行く必要はない。
 公だから長く残る、私だから短く残るということは必ずしもない。公でも不安です。
 データがあれば正直なんでもいいかな(ただしライセンス管理は必要)
 コストとしてどのぐらいのものを引き受けていくかが問題だと思います。
 消費税が1%上がるけど、日本の古文書が全てデジタルアーカイブ化されるとしたら、どうする?と生徒に聞いた。みんな渋い顔。つまりそういうこと。


江上先生「館同士でなにか協力は?

もし何か天災とかでデータがなくなったらとかしたらどうしますか?」
◾︎田中さん
 アメリカではなくなったデータベースを引き受ける団体NPOがある。
 日本でもこうした何らかの機関が登場するんじゃないか。

 国会図書館がそれをするのも有りです。

 何かここはという機関は必要である。我々の立場としてはウェルカム!

■大場さん

 データの保存はなんとかなる。

 権利関係がクリアなら。変なフォーマットでなければ。

 データベースとしての保存は難しい。
 昔、データベースのデータベースを作ったけど維持できなかったので、csvにして公開した。
◾︎茂原さん
  引き受けてもらえるならありがたいけど、それができるかどうかは疑問。
  するとしたならば、それをすることを前提としての枠組みを作る必要がある。

 データとして残して行くのは現実問題難しいですね。

■江上先生

 100年後のアウトリーチを考えていくことが大切。


人材育成について、いまどのようにやっているか
◾︎大場さん
 人材育成は難しい。特にシステム系。

 ハードウェアのことまで隅々分かる人が少ない。
 マイクロソフトの研修とかやってるけど効果はイマイチ…
 結局研究者や外の人に頼んだり。外部の人を常勤のように雇う
◾︎田中さん
 全てができる人材が欲しい。

 コンテンツやってる人に隣の領域を学んでもらうとか、
 少しずつ広げていくくらいしかないんでしょうか。
 今後の課題として、みんなで考えていかないといけないね。
◾︎後藤先生
 資料保存の技術の世界なら、有る程度教えられる。
 プログラムも教えられる。
 問題は両方できるひと。運用の仕方が出来るひとである。
◾︎ 茂原さん
 いままでつくってきたものを維持していくことについて
 専門的な知識を持ってやってく人、デジタルキュレーターの必要。
◾︎江上先生
 立命館にアート・リサーチセンターにその辺を学ぶ大学院ができたような気がする⇛

立命館大学グローバルCOEプログラム 日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点

 一人では無理なので、いろんな分野の専門家と向き合うことのできる人が大事。

 

ユーザーからのフィードバックってどうしているのか?
正負の意見、どちらがデジタル化を推進し、どちらが拒んでるのか。
どういう声を受けてデジタル化を促すor萎えたのか
◾︎茂原さん

 そもそもそんなものはないかと…

 計画通りやってるだけなので、モチベーションとかはない。
 ただ、反響はあるので改善しようとなる。

 しかし、ツイッター等のSNSは3日すると反応がなくなる。
 デジタルコンテンツは、出してからが勝負。
 どのように営業していくか常にそれが話題になっている。
 江上先生「厳しいですねー」
◾︎大場さん
 たしかにTwitterが3日経つと静かになる
 新聞にのってプラス方向に言われるとしめしめ

 デジタル化はコンテンツがほめられるのは少なく、サービスでほめられることが多い。
 国会図書館の職員はエゴサーチがすき(笑い)
 サービスを改善するために反響を使っている。
◾︎田中さん
 お金が絡むからもっとシビア
 (リニューアルしたときに会社に行きたくなかった)
 満足している人は何も連絡をよこさない
◾︎後藤先生
  研究系のデータベースなので、わりとのんびりしている。

 それでも、新しくしたら批判のほうが多い。

■大場さん
 海外の人から近デジがないと困る!とか言われるととても励みになる。

■後藤先生
 海外での需要や反響があるとなんとかしようとなる。

■江上先生
 海外の日本語コンテンツニーズはある。
 ユーザーはコンテンツ提供者にどう感想を伝えていけばデジタル化が進むのか。

■田中さん
 どんな声でもいいから聞かせてほしい。
 満足されてても黙られてたら立ち止まってしまう。

 

で、デジタル化を拒むものって一言で言うとなんですか?

■茂原さん
 そういうのを一手に受け止める人とカネ。
 その上でどうにかしていかなきゃね。

■大場さん

 お金をどうするのか。
 民間でも国会図書館でもそうなんだけど、
 お金の流れをどうやって作っていくのか、どこまで人はお金を払ってくれるのか。
 そのうえで、お金を払ってもいいと思ってもらえると嬉しい。

■茂原さん
 その上でよかったということを組織の上の組織の上の組織にでも言ってくれると嬉しい。

■後藤先生
 それやって何になるの、見たいな上司。
 メリットに対しての流出等のリスクを恐れる人。
 流出なんて具体的なリスクではないのでは。

■江上先生
 内部からの抵抗はしんどい?

■後藤先生
 そのために外からの声が欲しい。


見つけてもらうための努力
リソースを発見されるためにはどうすればいいですか。
◾︎大場さん
 データベースのコンテンツが少ないときは、本体(ほしいもの)がみつからない
 多いときは、何がかいてあるかわからないと言われる。
 →メタデータをばらまく、検索で引っかかってもらうように…
 →中のコンテンツを宣伝する。
◾︎茂原さん
 パンフレット等の入り口や、中のコンテンツを国立国会図書館のサーチに引っかかってくれるようにする
◾︎後藤先生
 いかにシンプルに検索し、表層に現れるようにするか。
◾︎田中さん
 インデックスの整備
 連携を強めていく
 項目名だけでもググって出てくれるようにする。
◾︎江上先生
 日本のこと「だけ」ではなく、日本のこと「も」知りたい研究者もいる。
 日本だけそういうデータベースでやるのは探せないというのは…
 引きこもりがた情報発信はよくない。

 


江上先生「国立国会図書館・ジャパンナレッジは他の会社等のコンテンツを扱っていますが、交渉の難しさについて教えてください」
◾︎大場さん
 ひなぎくではやったけど、そんなに経験がない。
 最初はメタデータを渡すことに抵抗があった。
 今は、国会図書館サーチでどっかからもらったメタデータを表示するのはいい。
 ただし、、そのメタデータを再配布はできないのでその辺が課題。
◾︎田中さん
 出版社との交渉は非常に丁寧・センシティブにやってる。

■大場さん

 最終的には人と人なので、
 メール一本でどうにかなることではない。
 信頼関係を作らなければならない。

■江上先生

 つまり、いろんな立場のいろんな人がいるこの場みたいなのが大事。


◻︎江上先生「どうすればユーザーと真摯にむかえますか。想定していないユーザーについても」

◾︎大場さん
 見えないユーザーの配慮
 コアユーザーを中心に働きかけをする。
 ただ、想定してないような人たちが使えるようにしなきゃいけないが…。

■茂原さん
 お客様は神様です。
 それを利用している人の声を求めている。
 こっちもコンテンツについて多くを語ってかなきゃいけない。
 コミュニケーションが大切!

■後藤先生
 最初は日本史学向けに作ったが、日本語学の人とかが実際にはよく使ってた。
 要は、出してみないとわからないから、いったんデータを提示する。
 そしてフィードバックを生かして改修するといい。

■田中さん
 お客様のことをユーザと読んでいたらしかられた。
 確かに、利用者の方はお客様だ。
⇛そう呼ぶようにした。
⇛すると態度が変わる。
⇛社内でもお客様を大切にしようとする。
 ユーザと呼ぶとぞんざいになる。この気持ちを持ち続けるのが大事?

■江上先生
 届きにくいユーザに対して届けるのが大事。
 情けは人のためならずというが、実際にアウトリーチは人のためではない。
 その人に届けることによって社会なり何なりの役に立つために頑張りたい。